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「いらない!APEC」横浜民衆フォーラム実行委員会のブログです
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多国籍企業の「成長」か労働者の「国際連帯」か
9:30~16:00 402室
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第一部 9:30-12:00<日本からの報告提起>
中国人研修生・実習生の実態
 中島浩さん(全統一労働組合 書記次長 外国人労働者分会)
 映像 http://www.ustream.tv/recorded/10949263
日本企業は進出先で何をしているのか:フィリピントヨタのケースから
 風呂橋修さん(全造船いすず分会委員長/フィリピントヨタ労組を支援する会)
 映像 http://www.ustream.tv/recorded/10949799
ゲストのコメント
 映像 http://www.ustream.tv/recorded/10950292
第二部 13:00-16:00<海外からの報告提起>
中国労働運動の登場と民主化
 區 龍宇さん(香港 グローバリゼーションモニター)
 映像 http://www.ustream.tv/recorded/10947813
グローバル化と韓国の労働運動(仮題)
 カン・スンチョルさん(韓国 民主労総事務総長)
 映像 http://www.ustream.tv/recorded/10948429
※映像は全てNO!APEC TVより

“多国籍企業の「成長」か 労働者の「国際連帯」か”と題して労働分科会は、グローバル経済のなか「底辺への競争」を強いられる労働者が企業、国境を越えて連帯していくための闘いの方向性を引き寄せるテーマとゲストの参加で開催された。

午前の第一部は、日本の取り組みの報告として、外国人研修生・技能実習生制度を悪用して物同然に扱い、「強制帰国」を脅しに時給300円の低賃金と強制労働を強いられている研修生・技能実習生の救済、支援活動を行っている全統一労働組合書記次長/外国人労働者分会の中島さんから、制度の仕組みとその実態が報告された。

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中島さん(右)とフィリピンからの研修生

途上国への技術・技能移転の国際貢献として始まった外国人研修生・技能実習生制度は、今や労働力補助として「活用」され、人材育成どころか制度で禁止されている「単純反復労働」がほとんどであること。国際貢献といいながら低賃金で随時「入れ替え」可能という受け入れ側の都合を反映して中国からの研修生が70%を越えていることや縫製の労働が増し女性が半数を超えていて、セクハラ、パワハラが多発していること。研修生・技能実習生制度を利用して日系の労働者を使う愛知県(トヨタ関連下請け企業)が全国一位になっていることが報告された。

「国際貢献できる制度にすれば解決するのか。制度設計そのものに欠陥があり、他民族、多文化共生社会を壊すこの制度は廃止すべきである。労使対等を原則とした制度設計として研修生と実習生を切り離したものにすべきである。そして、移住労働者ついて、補助ではなく地域の一員としてともに生きる仲間、隣人として受け入れる社会が求められている。」と結んだ。また、当該の研修生としてフィリピン労働者からは、長時間労働の実態、派遣先会社が倒産して未払い賃金問題で闘っていることが報告された。

続いて、フィリピントヨタ労組を支援する会の風呂橋さん(全造船いすず分会委員長)からフィリピントヨタ労組を支えてきた10年の闘いの報告を受けた。セブ島で廃船の解体工事に反対する闘いをしていたときに、フィリピントヨタ労組の闘いを知り支援し始めた。

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風呂橋さん

トヨタの企業姿勢は、「トヨタカンバン方式」の徹底と低賃金でコストを抑え、膨大な利益を上げているおり、同時にこの方式を海外に輸出している。このような状況で働けないとしてフィリピントヨタの労働者は労働組合を結成した。フィリピン労働雇用省がフィリピントヨタ労組を団体交渉権をもつ唯一の組合と裁定したことにトヨタは、日本の進出している企業とともには、アロヨ大統領に労働組合を認めるのであれば撤退すると圧力をかけ労働組合を叩き潰そうとしてきた。そのような企業を許してきた日本労働組合にも責任がある。トヨタはフィリピン国内の労働法まで変えようとしている。

このようなやりたい放題に対し、トヨタ本社を攻める行動や背景資本への闘い等国際連帯を取組んできた。ILOへの取組みとしては結社の自由委員会に、解雇撤回、労働組合への支配介入、団体交渉拒否を止めるように訴え、2009年ILO調査団がフィリピンに入り、労組、政府、企業にヒアリングし裁判に関係なく解決をするよう勧告を出した。

その間フィリピンでは労働組合の役員が殺害され、工場の敷地内や組合事務所隣接して軍隊の駐屯地が作られ、あらゆる手段を使った組合潰しをしてきている。
グローバルな労働組合が必要だ。大企業の横暴に規制をかけていく、国際連帯行動で謝罪させ、企業を変えていくことが必要だと訴えた。

この二つの報告に対して、海外ゲストの韓国民主労総事務総長のカン・スンチョルさんと香港グローバリゼーションモニターのアウ・ロンユさんからそれぞれコメントを頂いた。

カンさんは、「韓国の現代自動車も同じようなことをインドで行っている。現代自動車労組は、インド工場への抗議、弾圧の中止を求めている。トヨタ方式を取り入れている企業が多いが止めさせていくことが必要だ。研修生制度については、ネパール労働者を雇用した同じような制度がある。研修生であれ、非正規労働者であれ、労働者はひとつであるということ、差別をつくらない団結して平等な社会をつくっていくことが必要であるし、労働者の力で世界を変えていくことは可能である。」と応えた。

アウさんは、「労働運動が社会的に資本を規制しなければ、搾取や自然破壊は止まらないし、資本が自由し放題になることは明らかである。これまでの30年間は多国籍企業を中国へ入れる政策であったが現在は中国の企業が海外へ出て行く状態になっている。中国企業がボルボや韓国の自動車会社も買収していて、各国で労働者を搾取している。世界の労働者が団結することが重要である。今回、全統一労組の取組みの国際連帯活動を肌で感じ、学ぶ機会を得た。まずは実態を知ることが必要であり、全統一の闘いを中国にも伝えて行きたい。」と話した。

午後からは、韓国民主労総事務総長のカン・スンチョルさんと香港グローバリゼーションモニターのアウ・ロンユさんからそれぞれそれぞれ報告を受けた。

アウさんは、中国ホンダでの労働者のストライキを中心に中国経済の行方を新たな労働運動の登場について報告をした。中国は2009年にアメリカを抜いて世界最大の自動車生産国になった。1400万台の生産される自動車のほとんどが国内で売られている。外資との合弁会社が6割であり、民族資本は4割程度である。中国の自動車企業の発展から中国の資本主義の発展を見ることができる。

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アウ・ロンユーさん(右)

中国民族資本の成長ではなく、外国資本との合弁会社をもって発展させていくという政策をとっている。国内では、二つの論議がある。帝国主義の資本を使って資本主義を発展させるのか、自立して資本主義を発展させていくのか、という論争である。胡 錦濤は民族資本を育てていく方向のようだ。この自動車企業での「発展」のなかで、労働者の実態は、賃金でみただけでもアメリカの労働者の賃金の十分の一でしかない。

ホンダの労働者のうち三分の一が実習生であり、賃金は中国の正規労働者の三分の一でしかない。ホンダでの5月から6月のストライキは、17日間にわたり、その要求は、賃金を800元に上げること、労働組合の改選を求めるものだった。ストライキは大きな成果を勝ち取った。30%の賃上げを勝ち取り、実習生の賃上げは70%であった。全国各地でのストライキを拡大するきっかけになった。広東州でのストライキを36回確認した。日本企業でのストライキが半数を占めた。

このストライキの意義は、敗北を知らない新たらしい世代の登場である。中国の労働者は、国有企業の労働者と出稼ぎ労働者2億人に分けられる。国有企業の労働者は、階級意識はあるものの、20年に渡る民営化のなかで要求を出せなくなっている。一方、出稼ぎ労働者は、社会的保障、市民権がないなかにおかれている。この二つのカテゴリーの労働者は困難性を持っているが、ホンダ労働者のような敗北の経験がない新たな世代の労働者はそれを克服している。中国労働運動の芽が出てきている。

始まったばかりの労働運動が韓国や日本の運動から教訓や闘いを学び取っていくことが重要だと結んだ。

カン・スンチョルさんは、韓国の労働運動について、イ・ミョンバク大統領の下で労働運動弾圧が強まっている。整理解雇が進み、非正規労働者は850万人に達している。(総労働者の50%以上)労働運動への規制強化も進められている。韓国は、職場で複数の労組が認められていなかったが、来年からそれを認めることになるが、窓口を一本化するということで少数派組合を押さえていこうという動きになっている。また、労働組合の活動家が逮捕、投獄されており、公務員労働組合を不当団体とし弾圧も強められている。違法派遣について裁判所が違法としても、その労働者を弾圧するという事態が起きているし、団体交渉権についても警察権力を使って潰してしまおうという攻撃に対して、それを守ろうとする労働者との攻防となっている。

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カン・スンチョルさん

「国家戦略2020」を公表して、間接雇用や非正規労働者の拡大をはかるとしている。公平な社会を謳いつつ、企業には法人税を下げ、労働者には非正規の拡大、社会保障の削減を強いている。
移住労働者の現状について、G20開催にさいし、「環境美化」を掲げ移住労働者やホームレスの締め出し排除政策に対して、民主労総は政府に申し入れをしながら反人権的、反労働組合政策に対抗する闘いを展開している。

G20において、韓国政府の労働運動への弾圧を国際的に明らかにしていくため、各国から労働組合や社会運動団体を招聘してソウル民衆会議を持ってきた。金融規制と開発、FTAと農業、南半球の労働者との団結等のシンポジュームを開催してきた。世界を動かしているのは、G20ではなく、南半球の労働者であり、民衆であり私たち労働者であることを確認した。新自由主義に変わるオルタナティブな世界は可能だということも確認した。

「大げさな宴にはご馳走が少ない」という韓国のことわざを使い、G20が「空っぽの会議」だったと締めくくった。

全体討論は、経済危機のなかでの各国政府が労働者や民衆への圧力の強めていること。新自由主義は、非正規労働者という新たな階層を作って好き勝手に賃下げをしていくという底辺の競争を進めていること。そして多国籍企業は、低賃金労働者を求めて世界の市場をあさり回って、進出先の現地政府に圧力をかけ労働者を黙らせながら使っている。経済危機の責任を労働者、民衆、農民に転嫁して、企業だけが利益を貪っているのが現状であり、それをどうするのか。

各国の労働組合が国際連帯で跳ね返していく、多国籍企業の活動に規制を加えていく共同の作業を求められている。多国籍企業は自動車などを売って金儲けをしているだけに過ぎない。農業は壊滅的な状態であり、多国籍企業を中心とした社会ではない持続可能な社会のありようをめざすオルタナティブな方向が求められていること。APECは、自動車、電機等の輸出産業の利益を拡大させるための促進会議でしかないことが確認された。

また、研修生・技能実習生の駆け込みに対してシェルターを準備して、研修生の支援、救済の手助けをしていること。中国ホンダのストの報告を聞いて、津地裁は、縫製業の中国人研修生のストライキに対し、判決文のなかに正当な労働者の権利として認めていることの事例を示し、このように労働者の闘いがその状況を変えていく力を持っているということ、移住労働者や研修生・実習生のダイナミックな闘いが自分たちも含め日本の労働運動や取り組みに大きな影響力を与えていることが報告された。
充分な討論ができなかったが、日本からの国際連帯の取組みの報告と韓国、中国の労働者の闘いの報告を受け、新自由主義でない、もう一つの世界を労働者、民衆の手で掴み取る運動の拡大と国際連帯が確認された分科会となった。

分科会で確認したスローガンは下記の通り。
・労働者の移動の権利、生存権、労働権、団結権の保障を求めよう!
・雇用と生活を破壊するFTAAP、TPP交渉を中止せよ!
・多国籍企業の活動を規制するよう求めよう!
・法人税の引き上げを求めよう!
・ILOのすべての条約を批准し、勧告を受け入れ実施せよ!
・「労働」における女性への差別、抑圧、暴力、搾取に反対しよう!
・あらゆる職場、労働の場における同一価値労働、同一賃金の実施を求めよう!
・世界の労働者は団結しよう。

追伸:カンさんは、当日全統一の研修生シェルターへ訪問激励、アウさんは17日東部けんり総行動で研修生受け入れ機関(みやび/北千住)に対する要請行動に参加しました。
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